電子書籍のつくりかた

[16]Kindleの不思議

中休み的に、Kindleの話などを。
AmazonのKindleは、電子書籍を販売するストア、電子書籍を読むためのアプリ、そしてAmazonが販売する専用端末の名前です。サービス全体の総称……という言い方もできますが、単に「Kindle」と書いたときに、どれを指すのかわかりにくい、という側面があります。なので、書く方としては、普段「Kindle」と言ってしまっているところでも、わざわざ「ストアのKindle」みたいな言い換えをしなくてはいけないので、なかなか面倒です。このブログだと、ちょっとサボっちゃってますが(笑)

さて。
ここでお話するのは、アプリのKindleと、専用端末のKindleについてです。
フツーに考えると、同じ会社が販売している同じ名前のモノなのだから、どれも一緒だろうと思うわけですが、これが結構違ったりするから、困ったものなのです。多少の差なら「まぁ、しょうがないか」とも思いますが、「どうしてそうなるの?」と不思議になるくらいの差が存在したりするのです。

まず、目次。EPUB2とEPUB3の違いのところでも話しましたが、KindleはEPUB2ベースのファイル形式のため、toc.ncxがあったほうがいいのです。しかし、そのtoc.ncx、一部のKindleでしか使われていないのです。
Kindle PaperwhiteとKindle Fireでは、使っているらしいことはわかりました。しかし、Kindle for AndroidとKindle for iOSでは、どうやら使っていないようなのです。こちらでは、メニューから「目次」を選択すると、本文前の目次ページへジャンプするのです。
ところがKindle PaperwhiteとKindle Fireだと、メニューから「目次」を選択した場合、toc.ncxからピックアップした(らしい)目次項目が、リスト表示されるのです。
同じ「Kindle」でありながら、この違いはなんなんでしょうか。
さらに言うと、Kindle FireはOSとしてAndroidを採用しています。なのに、「Kindle for Android」とは別のアプリが入っているわけです。
理不尽……というか、不可解です。OSが同じAndroidなんだから、同じアプリの方が楽なんじゃないか、と。

 

それから。
自分で制作したEPUBファイルを端末に転送して表示チェックをするわけですが、ほかの端末だと「左開き」でページ送りができるのに、Kindle for iOSだけ、どうしても右開きになってしまうことがありました。
原因を調べてもわからないし、そのままKDPにアップしましたが、販売されたデータをダウンロードしてみると、ちゃんと左開きになってました。
おそらく、KDPの中の人が修正してくれたのでしょうが、そうやって対応できるのならば、アプリの方も修正できるんじゃないかと思うのですけどねぇ……。

 

もうひとつ。
Kindleシステムの特徴として、複数の端末で読んでいる位置が同期できるというものがあります。自宅のタブレットで本を読んでいたとします。通勤電車のスマホでその本を開くと、タブレットで読んでいた位置から読書を再開できる、という機能です。
これはこれで便利なのですが……これがトラブルの原因になったりもするのです。
自作のEPUBファイルをタブレットなどのKindleに送ってチェックしていたとき、表示が乱れたりしたことがありました。
あれこれ調べた結果、どうも読書位置の同期機能あたりがあやしいことに気づきました。
Kindleで本を読んでいると、クラウド(Amazonのサーバー)に「ここまで読んだ」というデータを送って、必要なときにそのデータを引き出しているわけです。
ところが、自作のEPUBファイルの場合、クラウドにはそのEPUBファイルを買ったという記録がありません。買ってないのだから、当然です。そのあたりで、データがおかしくなって、表示が乱れたりしたのでは……というのが、私の考察。実際、読了位置を記録して、端末に保存しているであろうファイルを削除してみたら、挙動が元に戻りました(ひょつとしたら、危険な操作かもしれないので、やるときは自己責任でお願いします)。

 

……とまぁ、Kindleには不思議なところがいろいろあります。
最終的には解決する問題ですし、致命的な欠点というわけでもなので、「じゃあ、Kindle使うのやめよう」ということにはならないのですが、こうした問題があるということくらいは、把握しておいてもマイナスにはならないんじゃないでしょうか。

2013/07/04   admin
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