電子書籍のつくりかた

[12]EPUBファイルの「中身」について知っておこう

「EPUBファイル」というと、なにか特別なもののように見えますが、実際の中身は、誰でも扱えるフツーのファイルです。
本文にあたるHTMLファイル、画像ファイル、スタイルシート(CSSファイル)、各種設定ファイルなどです。画像ファイル以外はテキストファイルなので、メモ帳でも見ることができます(ま、実際にはやらないでしょうけど)。
それらのファイルは、指定されたフォルダに分けておきます。そうしたフォルダやファイルをZIPでひとつにまとめて、拡張子を.epubに変更したものが、「epubファイル」なのです。
で、その問題なのはその中身です。単に「EPUBファイル」といっても、EPUB 2とEPUB 3では、かなり中身が違ってきます。フォルダはほぼ一緒なのですが、中に入れるファイルの形式が、微妙に異なっているのです(画像ファイルは一緒ですが)。
細かく書きはじめるとキリが無いですし、わかりにくいので、簡単に要点だけまとめます。

 

●EPUB 2フォルダ構造
・「Text」フォルダ…本文のHTMLファイルを収納
・「Style」フォルダ…スタイルシート(CSSファイル)を収納
・「Image」フォルダ…画像(JPEG)ファイルを収納
・content.opf…書籍の情報について書いてある設定ファイル
・toc.ncx…目次(ナビゲーション)ファイル

 

●EPUB 3フォルダ構造
・「Text」フォルダ…本文のHTMLファイル、および目次と表紙を収納
・「Style」フォルダ…スタイルシート(CSSファイル)を収納
・「Image」フォルダ…画像(JPEG)ファイルを収納
・content.opf…書籍の情報について書いてある設定ファイル
・toc.xhtml…目次(ナビゲーション)ファイル

 

●EPUB 2のファイル形式
・HTML…XHTML 1.1
・スタイルシート…CSS 2

 

●EPUB 3のファイル形式
・HTML…XHTML 5
・スタイルシート…CSS 3

 

上の「フォルダ構造」では、opf(設定)ファイルや目次ファイルは、フォルダの外(ルート)として書いていますが、拡張子さえ合っていれば、どこに配置しても問題無さそうです。
というのも、ここには書いてないのですが、EPUBには「container.xml」というファイルが必ずあり、そこでopfファイルを指定し、そのopfファイル中で目次ファイルなどを指定することになるからです。実際には、自分なりのルールを最初に決めておいた方がいいでしょう。

 

まず、フォルダ構造からみていきましょう。「Text」などのフォルダに、それぞれのコンテンツが収納されるのは一緒ですが、違うのは目次ファイルです。EPUB 2がncxファイルであるのに対し、EPUB 3ではxhtmlファイルになっています。
ファイル形式が変更になっただけ……のように見えますが、実はこれが大きなトラップになっているのです。これについてはのちほどじっくりと。
ファイル形式は、EPUB 2からEPUB 3に改定するにあたり、「使うファイル形式も新しいものにした」と理解しればよいと思います。XHTMLがHTML5に、CSS2がCSS3にバージョンアップしたのです。どちらも新しい方ができることは増えていますが、現在のところ電子書籍をつくるにあたっては、それほど気にすることではないと思います。
将来的にも、文字のみの電子書籍をつくるのであれば問題にならないと思いますが、インタラクティブな書籍、ビジュアル重視の雑誌を電子出版するようになったら、「新しい方じゃないとつくれない」ということになってくるでしょう。まぁ、その頃には、制作環境も読書環境も進化しているはずなので、必要になったときに新しいものに対応していけばよいと思います。

 

実用上は「大差ない」と表現してよいと思いますが、制作する際には、これらの小さな違いがトラブルにつながったりします。それぞれの違いについて、最初から学習しておく必要はありませんが、「EPUB 2とEPUB 3は、違うところがある」という点だけは、理解しておきましょう。

2013/07/02   admin
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